高カリウム血症の心電図変化は、
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◎高カリウム血症で、静止膜電位が上昇する。
◎Naイオンの細胞内流入が遅くなり、QRS幅が広くなる。
◎一方、再分極を起こすKチャネルは開きやすくなり、急速にKイオンが細胞外に流出する。T波が増高し、狭くて先鋭化する。
◎心房筋は、最初に動けなくなり、P波は消失する。(でも、心房内伝導は残っている。( sino-ventricular conduction / rhythm )
◎最後には、サインカーブ化して、心停止となる。
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これが、高カリウム血症の心電図変化の普通の説明です。
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なんらかの理由で、血清カリウム値が上昇しました。
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細胞内から、細胞外へのK+イオンの流出が、難しくなります。
単にK+イオン濃度差が減少するためだけではなく、イオンポンプの回転も不調になるようです。
結果として、静止膜電位が浅くなってしまいます。
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静止膜電位が-90mVと十分にあるからこそ、脱分極できます。静止膜電位が浅くなる=心筋が電気的興奮が出来なくなる危機です。
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クリックすると、拡大します。
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心筋細胞は、再分極をしっかりするために、K+イオンをどんどん3相で、細胞外に排出します。
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さて、多くの方が、以下の疑問をお持ちのはずです。
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細胞外K+イオンが高値になり、細胞内外の電位差が低下しているのに、なぜK+イオンは、どんどん細胞外に流れ出るのか?
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私も疑問です。
細胞外のK+イオンが増えると、カリウムチャネル自体が変化して、細胞外への流れが増加するようです。
主に、Ikr, Ik1が、主役となって頑張ります。
カリウムが3相で、急速に流出することで、T波が尖るように高くなり、狭くなります。
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クリックすると、ECGが拡大します。
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静止膜電位(-90mV)をなんとか維持しようして、高カリウム血症では、テント状T波が発生するんですね。
なお、テント状T波が発生する状況は、もうすぐ心停止が起きる危険な状況だと、理解しましょう。
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やっと、テント状T波の説明ができました。ふー。。
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今回の教訓
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高カリウム血症では、
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【 K+イオンの高速流が、テント状T波を作る 】
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【 テント状T波の出現は、危機的状況です 】
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この説明で、高カリウム血症でのテント状T波の発生理由が、納得出来ましたでしょうか?
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=よく分からなかった方=
普通です!ここでご説明しなかった事までいろいろ理解しないと、真の納得は困難です。私も(・_・?)な部分が沢山あります。
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= ますます、混乱・疑問が増えた方=
全く、普通です!私も新たな疑問が増えてしまいました。以下の書籍を読み込んで下さいね。
https://www.amazon.co.jp/絶対にわかる-心電図攻略のツボとコツ-平井恵二/dp/4767812992/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1538404299&sr=8-1&keywords=心電図攻略
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4898132502/ref=oh_aui_detailpage_o00_s00?ie=UTF8&psc=1
https://www.amazon.co.jp/心筋細胞の電気生理学―イオンチャネルから、心電図、不整脈へ-ベッドサイドのBasic-Cardiology-山下-武志/dp/4895923185/ref=sr_1_11?s=books&ie=UTF8&qid=1538404627&sr=1-11&keywords=山下武志