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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【コラム-130:心電図検定試験-2A合格から1B合格までシリーズ001:心房細動(その2-- 心房細動を深く知るためのTips)】

2023/1/14までに、一人じゃ勉強できないよ~!! 

新シリーズです。

2級合格を目標として、いろんな波形を学び直し、その後に1級受験へ誘うコラムです。

 

今回は、1級受験前に知って欲しいAfib.の知識です。

直接試験問題には出ませんけど、心房細動の心電図を読み込む深さが、きっと違ってきます。

 

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発作性心房細動は、頻拍(動悸)で発症するのが一般的です。特に、器質的心疾患のない若年者では。

SVTと違うのは、発作出現時刻はAFでもSVTでも覚えていますが、AFが停止するときは、いつの間にか治っているが多いんです。

 

心房細動なのに、安静時の心拍数が60-80bpmの場合には、

*慢性化している。

*薬物でレート・コントロールされている。

*房室伝導に障害起きている。

を想定して下さい。

 

左房を単純化して考えてみましょう。

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左房には、4本の肺静脈があります。

心房筋袖(myocardial sleeves)と云う(左)心房筋の成分が肺静脈に複雑に入り込んでいます。発生時に起きる現象です。

 

 

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この心房筋袖(しんぼうきんしゅう)は、自律的な発火を起こすことがあります。

肺静脈からの(firing:ファイアリング)が、頻回に出現しています。

Firing自体は、600-800bpmとされています。この症例では、2:1で400bpmくらいの

肺静脈→左房への興奮伝達なのでしょう。

心房粗動と異なり、firing波形自体は崩れていってます。短い心房細動なんですね。

 

 

 

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この発火が続くと、多くの大小リエントリーが機能的に心房内で成立します。

Multiple wavelet reentries

遂に、心房の(学級崩壊)が起きました。心房細動です。

左房が細動化すると、Mahaim,冠静脈洞を経て、右房もバイスタンダーとして細動化します。

 

 

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発生頻度は、左上肺静脈が一番高いようです。

(Left Superior pulmonary vein)

でもカテーテル・アブレーションでは、四本全てを電気的に隔離して肺静脈からの高頻度刺激が、心房内に拡がらないようにしますね。

 

なお、右房壁や上大静脈にもfiringを起こす起源が存在することがあり、アブレーションのtargetにもなります。

=羊さんのアイコンは、そじきよ氏のご厚意によります。感謝です。=